地方の未来は「小さな挑戦」から生まれる
人口減少や高齢化が進む地方都市では、
「人が減ること」が最大の課題として語られることが多い。
確かに人口は重要だ。
しかし本当に問われているのは、
人数ではなく、人のあり方
ではないだろうか。
どれだけ人がいても、
地域に関わろうとする人がいなければ
まちは静かに弱っていく。
逆に、人数が多くなくても、
地域の未来を考える人がいれば
まちは動き始める。
地方の持続可能性は、
人の数より、人の関わり方に左右される。
地方は挑戦のハードルが低い
地方には、都市にはない特徴がある。
それは、
小さな挑戦を始めやすい
ということだ。
都市では、
・家賃が高い
・競争が激しい
・失敗のコストが大きい
という理由で、挑戦のハードルはどうしても高くなる。
しかし地方では、
・小さな店を始める。
・イベントを企画する。
・空き家を活用する。
そうした挑戦を、
比較的低いリスクで始めることができる。
これは地方の弱さではなく、
むしろ大きな可能性だ。
挑戦の「入口」があること
小さな挑戦が生まれるためには、
もう一つ大切な条件がある。
それは、
挑戦の入口となる場所だ。
柳川でも、そうした場所が少しずつ生まれてきた。
以前、地域のコミュニティスペースとして
「KATARO base 32」という場所を運営していた。
そこでは日替わりカフェを企画し、
地域の人が気軽に挑戦できる場をつくった。
すると、そこから実際に独立開業する人が生まれた。
また、スイーツマルシェをきっかけに
ケーキ店を始めた人もいる。
最初は小さな挑戦だったものが、
やがて本格的な仕事へとつながっていく。
地方では、
こうした流れが生まれることがある。
えんがわライブラリという「スタート地点」
現在、柳川で
「えんがわライブラリ」という小さな場所を始めている。
ここは、本や雑貨を通して人がゆるやかにつながる
コミュニティライブラリだ。
しかし、この場所の本当の目的は
それだけではない。
ここをゴールにするのではなく、
ここをスタートにしてほしい
と思っている。
小さく始めてみる。
試してみる。
人とつながる。
そしてもし可能なら、
そこから一歩前に進み、
実際のビジネスとして独立していく。
そんな流れが生まれたら、
とても嬉しい。
小さな挑戦が人を育てる
人材は、研修だけで育つものではない。
むしろ、挑戦の経験の中で育つ。
何かを始めてみる。
人と関わる。
失敗も経験する。
その過程の中で、
・地域とのつながりが生まれ
・自分の役割が見え
・新しい可能性が開けていく。
地方では、
そうした経験が生まれやすい。
ウェルビーイングと挑戦
ウェルビーイングとは、
単に幸福度が高い状態ではない。
自分が社会の一部として
役割を持っていると感じられること。
地域の中に
自分の居場所があること。
小さな挑戦は、
その感覚を生み出していく。
だからこそ、
挑戦できる地域は、ウェルビーイングが高い。
そう言えるのかもしれない。
柳川から考える
地方都市は不利だと言われることが多い。
しかし見方を変えれば、
・挑戦のハードルが低く
・人と人の距離が近く
・関係性が見えやすい
という環境でもある。
つまり、小さな挑戦が生まれやすい土壌がある。
地方の未来は、
大きな政策だけでつくられるわけではない。
一人の小さな挑戦。
そこにもう一人が関わる。
その積み重ねが、
やがてまちの風景を変えていく。
次回予告
第6回では、
「ウェルビーイングとコミュニティ」
をテーマに、
人と人のつながりが地域にどんな価値を生むのかを考える。

阿部昭彦
SDGs未来ラボ代表理事
Well-Being指標活用ファシリテーター
サステナビリティ推進パートナー
サステナビリティ/SDGsを「自分ごと」に変換し、対話から行動を生むプロセス設計を専門とする。九州電力(株)、日本たばこ産業(株)、TOTO(株)などの企業や、福岡県・沖縄県などの自治体・教育機関でも支援を実施。現在はSWGsも視野に、ウェルビーイングの観点を踏まえたプログラムも実施。組織や地域ごとの「大切にしたい価値」を言語化し、持続可能な行動につなげている。



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