【第1回】なぜ今、地域づくりに「サステナブル・ウェルビーイング」が必要なのか

人口減少、高齢化、担い手不足。
地域づくりをめぐる議論の前提として、これらの言葉が並ぶことは、もはや珍しくない。

多くの自治体で
・移住・定住施策
・関係人口の創出
・にぎわいづくり
・SDGsの推進
といった取り組みが進められている。

それでもなお、
「施策は動いているが、手応えが見えにくい」
「将来像を描こうとしても、確信が持てない」
そうした声を、地域振興の現場で耳にする機会は少なくない。

成果が出ていないのではなく、軸がずれているのかもしれない

地域づくりの議論では、
どうしても「成果」が問われる。

人口は増えたか。
交流人口は伸びたか。
経済効果は出たか。

もちろん、これらは重要な視点だ。
しかし同時に、こうした指標だけを追い続けることで、
地域づくりの本質が見えにくくなっている可能性もある。

地域は、単なる政策対象ではなく、
人が暮らし、日々を営む場所である。

その場所が
「安心して暮らせるか」
「自分の居場所や役割を感じられるか」
という問いは、成果指標の前に存在しているはずだ。

サステナブルとウェルビーイングを「分けて考えない」

サステナブル(持続可能性)とウェルビーイング。
この二つは、しばしば別々の文脈で語られる。

サステナブルは、
環境政策や将来世代への配慮の話として。

ウェルビーイングは、
個人の幸福度や満足度の話として。

しかし、地域づくりの現場では、
この二つを切り離して考えることは難しい。

無理な成長を前提とした地域は、
人を疲弊させ、関係性を壊しやすい。
一方で、人の暮らしが成り立たない地域は、
長く続くことができない。

サステナブル・ウェルビーイングとは、
地域が続いていく条件と、
そこに暮らす人の生活の質を、
同時に考える視点だと言える。

地方都市の暮らしから見えてくるもの

福岡県の南部に位置する柳川市も、
人口減少や高齢化といった課題を抱える地方都市の一つだ。

統計データだけを見れば、
決して楽観的な状況ではない。

しかし、このまちで暮らしてみると、
別の側面が見えてくる。

顔の見える関係性。
特別な制度がなくても成り立っている助け合い。
効率は悪くとも、無理なく続いてきた生活の形。

これらは、
政策資料にはなかなか載らないが、
地域のウェルビーイングを静かに支えている要素でもある。

このブログで考えていくこと

このブログでは、
地方都市の現場から、
サステナブル・ウェルビーイングという視点で
地域づくりを考えていく。

完成されたモデルを提示することはしない。
他地域にそのまま当てはめられる答えもない。

ただ、
地域で実際に暮らす中で見えてきた視点が、
自治体や地域振興担当者が
施策や将来像を考える際の
思考の補助線になる可能性はあると感じている。

次回は、
地域づくりの議論で頻繁に使われる
「消滅可能性都市」という言葉を手がかりに、
サステナブル・ウェルビーイングの視点から
もう一歩踏み込んで考えてみたい。


阿部昭彦 
SDGs未来ラボ代表理事
Well-Being指標活用ファシリテーター
サステナビリティ推進パートナー

サステナビリティ/SDGsを「自分ごと」に変換し、対話から行動を生むプロセス設計を専門とする。九州電力(株)、日本たばこ産業(株)、TOTO(株)などの企業や、福岡県・沖縄県などの自治体・教育機関でも支援を実施。現在はSWGsも視野に、ウェルビーイングの観点を踏まえたプログラムも実施。組織や地域ごとの「大切にしたい価値」を言語化し、持続可能な行動につなげている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です