【第4回】ウェルビーイングと地域経済循環

外で稼ぎ、内で回すという選択

ウェルビーイングを語るとき、

私たちはつい「幸福感」や「暮らしやすさ」といった

定性的な言葉を並べがちだ。

しかし、忘れてはならないのは、

ウェルビーイングは経済構造と切り離せない

という事実である。

暮らしの質は、

地域経済のあり方に大きく左右される。

地域はどうすれば豊かになるのか

地方都市の経済を見ていくと、

大きな課題が一つある。

それは、

住民が支払ったお金の多くが

静かに域外へ流出しているという構造だ。

大型商業施設、

中央資本のチェーン店、

域外本社のエネルギー会社。

これ自体を否定する必要はない。

だが、流出が大きければ、

地域に残るはずの価値は小さくなる。

では、どうすればいいのか。

「外から稼ぐ」は奪い合いではない

ここで誤解されがちなのが、

「外から稼ぐことは奪い合いではないのか」という問いだ。

しかし本来、

外から稼ぐことは、価値提供の結果である。

観光、特産品販売、企業誘致、

オンラインでのサービス提供。

それらは、

他地域からお金を奪う”行為ではない。

地域が持つ価値を磨き、

対価として収益を得ること。

これは健全で、必要な戦略だ。

問題は、稼いだあとである。

外で稼ぎ、内で回す

地域が本当に豊かになるためには、

外から稼いだ価値を、地域内で循環させること

が不可欠だ。

例えば、

  • 外から得た観光収入を地元事業者へ発注する
  • 都市部から受注した仕事の利益を地域雇用に回す
  • 域外売上を地域の若者育成に投資する

この構造ができて初めて、

経済は“定着”する。

単に成長するのではない。

循環する。

対立は「外か内か」ではない

本当の対立軸は、

外向きか、内向きか

ではない。

流出し続ける地域構造か、

循環する地域構造か。

この違いだ。

外とつながることは必要だ。

閉じれば縮小する。

しかし、

外に流れ続ければ疲弊する。

だからこそ、

外で稼ぎ、内で回す。

このバランスが重要になる。

地域経済循環はウェルビーイングの土台

地域経済循環が強まると、

  • 雇用が安定する
  • 小さな商いが続く
  • 世代を越えた関係性が保たれる

結果として、

暮らしの安心感が高まる。

ウェルビーイングは、

数値だけでは測れない。

だが、

小さな商いが続いているまち。

顔の見える経済があるまち。

そこに、確かな豊かさがある。

成長より循環

人口減少社会において、

拡大一辺倒のモデルは持続しにくい。

これから求められるのは、

成長よりも循環

という視点だ。

派手さはない。

だが、強い。

そしてそれは、

ウェルビーイングと深く結びついている。

柳川から考える

地方都市は不利ではない。

小さな単位で意思決定ができ、

顔の見える経済を築きやすい。

外とつながりながら、

内で回す。

この構造を意識的につくれるかどうか。

そこに、

これからの自治体経営の鍵がある。

次回予告

第5回では、

「ウェルビーイングと人材育成」

をテーマに、

企業研修・自治体職員研修との接点を掘り下げる。


阿部昭彦 
SDGs未来ラボ代表理事
Well-Being指標活用ファシリテーター
サステナビリティ推進パートナー

サステナビリティ/SDGsを「自分ごと」に変換し、対話から行動を生むプロセス設計を専門とする。九州電力(株)、日本たばこ産業(株)、TOTO(株)などの企業や、福岡県・沖縄県などの自治体・教育機関でも支援を実施。現在はSWGsも視野に、ウェルビーイングの観点を踏まえたプログラムも実施。組織や地域ごとの「大切にしたい価値」を言語化し、持続可能な行動につなげている。

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