皮むき間伐ってご存知ですか?

みなさんは「皮むき間伐」というのをご存知でしょうか?

「木というのは、枝が伸びて、根っこが伸びて、根っこから養分を吸収して幹が太ります。でも樹皮をはいでしまうと、水分や養分を吸い上げることができなくなり、枝が枯れ落ち、樹木は立ち枯れていくんです」


鎌と竹べらを使って樹皮をはいで、杉や檜(ひのき)を立ち枯れさせていく。
立ち枯れして水分がなくなった材木は軽くなるので、重機を使わなくても搬出できるようになる。
しかも、1本丸ごと木材を使いたい人のニーズも満たすことができる。
なんて素晴らしいんだ「皮むき間伐」!

ということで、アースデイ福岡のイベントで初めての皮むき間伐を体験してきました。
場所は、湧水千石の郷近くの杉・檜の林です。


まず、アースデイ福岡代表のはるとさんからのご挨拶。
彼はいま、オーストラリア在住で、今回のイベントのために訪日したそうです。
熱い思いを持ったナイスガイです。


続いて、NPO法人いとなみの藤井さんから、森で起きていることについてのわかりやすい紙芝居と、さらに詳細な説明をしていただきました。
杉や檜などの針葉樹は絵に描くときに三角にして描きますが、実は地中も同様に三角形に根が張っていくそうです。逆に、丸い絵で表現される広葉樹は、根も幅が広く丸く広がっていくとのこと。

間伐が足りない針葉樹林だと、枝を十分に広げることができません。
地中の根も枝と同様に、幅が広がらず、ただ深く伸びていくことになる。
その結果、高さは高いのに根の広がりが不十分で不安定な林となってしまい、何かの拍子に、土砂災害を引き起こしてしまうことになるそうです。

間伐をして間隔を広げてあげると、十分に枝を広げることができ、それと同様に根も広く張れるようになり、森林が安定する。
ある程度、本数があった方が風の影響を軽減できるのでいいのですが、本数が増えすぎると、お互いが邪魔になって十分な生育ができない。
その間のバランスを見ながら、間伐をしていく必要があるわけです。


道具は実にシンプルにこれだけです。
鎌も竹べらの入り口を作るだけのもので、基本的には竹べらと腕力で樹皮をはいでいきます。

樹皮をぐるっと一周はいでしまえば、そこで水分供給が断たれるので、樹木は立ち枯れしていくのですが、1本丸ごと使いたい人のために、できるだけ上の樹皮まではいでいきます。


具体的には、タコさんウインナーのように樹皮をひろげておいて、それをチームで一斉にはいでいく方法をとります。
1人だけ先走ってはいでいくと、すぐに樹皮が切れてしまいます。
チームワークをそろえて、みんなでタイミングを合わせてはいでいくことが大切です。

樹皮をはいだばかりの表面は、水分があふれだしているかのようです。
それだけ木の内部には水分が豊かに蓄えられているということなのでしょう。
樹皮をはいでから10年くらいまでは、そのままにしておいても問題ないので、木材を保管するための場所の必要もありません。

里山は人の手が入ることで機能するというのは、知識として知ってはいましたが、その現場に立つことはありませんでした。
今回、こうして森の現場に立ち会えたことは非常に貴重な体験でした。

いろいろとお世話くださったみなさん、本当にありがとうございました。

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